お葬式で必ずと言っていいほど目にする数珠。しかし、「どんな数珠を選べばいいのか」「宗派によって違うのか」など、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、お葬式における数珠の役割や基本的なマナー、宗派による違い、選び方など、数珠に関する様々な情報を詳しく解説します。この記事を参考に、故人への祈りを込めた数珠を選び、心を込めてお別れをしましょう
お葬式でよく目にする数珠。宗派によって形状や素材が異なり、宗派を問わずお葬式に持参できる略式数珠と、宗派の正式な数珠である本式数珠の2種類があります。
数珠は、仏教において祈りを捧げる際に用いられる法具です。お葬式では、故人の冥福を祈り、成仏を願う気持ちを表すために使用されます。数珠の珠を一つひとつ繰ることで、心を落ち着かせ、故人への想いを深めることができます。
また、数珠は仏様と心を通わせるための道具とも考えられています。数珠を手に持つことで、仏様との繋がりを感じ、心の平安を得ることができます。
数珠には、本式数珠と略式数珠の2種類があります。
本式数珠は、宗派の正式な数珠であり、宗派ごとに決まった形や素材で作られています。お葬式だけでなく、法事や法要など、仏教の儀式全般で使用されます。
一方、略式数珠は、宗派を問わず使用できる数珠です。一般的に、片手用の数珠で、持ち運びに便利なように袋に入っています。お葬式だけでなく、普段のお参りにも使用できます。
宗派に特にこだわりがない場合は、略式数珠を選んでおけば問題ありません。ただし、自分の宗派が明確な場合は、本式数珠を持参するのが望ましいでしょう。
お葬式において、数珠は故人を偲び、冥福を祈るための大切な法具です。しかし、数珠の選び方や使い方には、いくつかのマナーがあります。ここでは、お葬式での数珠のマナーについて詳しく解説します。
数珠の素材は、木、石、ガラス、プラスチックなど様々ですが、お葬式で一般的に使用されるのは、木製の数珠と石製の数珠です。
数珠の色は、黒や茶色が一般的です。黒は喪の色であり、故人への哀悼の意を表します。茶色は落ち着いた雰囲気があり、どんな宗派の方でも使用できます。
房の色は、宗派によって異なります。例えば、浄土真宗では白色の房、浄土宗では紫色や白色の房、日蓮宗では白色や黄色の房が用いられます。宗派が分からない場合は、白色の房を選んでおけば問題ありません。
数珠の玉の大きさは、男性用と女性用で異なります。男性用は大きめの玉、女性用は小さめの玉が一般的です。
数珠は、宗派によって持ち方や使い方が異なります。ここでは、一般的な持ち方と使い方を紹介します。
数珠は仏具の一つですから、丁寧に扱う必要があります。使用後は柔らかい布で汚れを拭き取り、専用の袋に入れて保管しましょう。直射日光や高温多湿の場所を避け、大切に保管します。
仏教には様々な宗派があり、それぞれに特徴的な数珠が存在します。ここでは、宗派別に数珠の種類や特徴について解説します。
浄土真宗の数珠は、他の宗派の数珠と比べて特徴的な形をしています。輪が繋がっておらず、片方の房が「蓮如結び」という特殊な結び方で結ばれています。 これは、阿弥陀如来の力によってのみ救われるという教えを表しており、自力で煩悩を打ち消す必要がないため、数珠を繰る必要がないことを意味しています。
浄土真宗の数珠は、男性用と女性用で房の数が異なります。 男性用は2房、女性用は4房が一般的です。また、素材は木や石、プラスチックなど様々ですが、本願寺派では白色、大谷派では茶色や黒色の房が用いられることが多いです。
浄土宗の数珠は、輪が繋がった形をしており、二連または三連のものが一般的です。二連は「日課数珠」、三連は「本式数珠」と呼ばれ、それぞれ用途が異なります。 日課数珠は普段のお勤めや墓参りなどに、本式数珠は法事や法要などの正式な場に使用します。
浄土宗の数珠の素材は、木や石が一般的です。房の色は紫色や白色が用いられます。
天台宗の数珠は、浄土宗と同様に輪が繋がった形をしており、二連のものが一般的です。 素材は、木や石、水晶などが用いられます。房の色は白色が基本ですが、青色や紫色も使用されます。
真言宗の数珠は、輪が繋がった形をしており、一連、二連、三連のものがあります。 素材は、木や石、菩提樹の実などが用いられます。房の色は、紫色や黒色が一般的です。
曹洞宗の数珠は、輪が繋がった形をしており、一連または二連のものが一般的です。 また、小さな金属の輪が繋がっているのが特徴です。素材は、木や石、星月菩提樹の実などが用いられます。房の色は、黒色や茶色が一般的です。
臨済宗の数珠は、曹洞宗とほぼ同じ形をしていますが、金属製の輪がついていない点が異なります。 素材は、木や石、星月菩提樹の実などが用いられます。房の色は、黒色や茶色が一般的です。
日蓮宗の数珠は、輪が繋がった形をしており、二連のものが一般的です。 素材は、木や石、星月菩提樹の実などが用いられます。房の色は、白色や黄色が一般的です。
上記以外にも、様々な宗派が存在し、それぞれに特徴的な数珠があります。 自分の宗派が分からない場合は、仏具店や葬儀社に相談すると良いでしょう。
お葬式は、故人との別れを惜しみ、冥福を祈る大切な儀式です。その中で、数珠は故人に祈りを捧げるための大切な法具であり、心を込めて選ぶことが重要です。
この記事では、お葬式における数珠の基礎知識から、宗派ごとの違い、選び方、マナーまで幅広く解説しました。 数珠は、単なる装飾品ではなく、故人への想いを繋ぐ大切な役割を担っています。
数珠を選ぶ際は、宗派や自身の気持ちに合った素材や色を選び、正しい持ち方と使い方を心がけましょう。 また、宗派によって数珠の形や素材が異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
お葬式に参列する際は、故人へ感謝と哀悼の気持ちを込めて数珠を手に取りましょう。そうすれば、心静かに故人を偲び、安らかな眠りを祈ることができます。
数珠は、故人との最後の時間を共有するための大切なアイテムです。この記事を参考に、心を込めて数珠を選び、故人へ想いを伝えましょう。