「葬儀って何をすればいいの?」「どんな流れで進むの?」「大切な人を亡くしてとても悲しいけれど、葬儀の準備はしなければならない。 でもわからないことだらけで……」と不安な気持ちを抱えている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、葬儀の流れや喪主が知っておくべき基礎知識、マナーについてわかりやすく解説します。
葬儀社との打ち合わせの前に、まずはここで全体像を把握し、安心して葬儀の準備を進めましょう。
「葬儀と告別式って何が違うの?」 そう思っている方は意外と多いのではないでしょうか?
実はこの2つは、それぞれに意味を持つ儀式なのです。
葬儀は、故人の冥福を祈るための儀式です。
仏教の教えでは、故人に仏弟子としての戒律を与える「授戒」と、極楽浄土へと導く「引導」を行う大切な儀式とされています。
また、故人が生きた証を振り返り、感謝の気持ちを伝える場でもあります。参列者は故人との思い出を語り合い、別れを惜しみながら新たな旅立ちを祈ります。
告別式は、故人の友人や知人が最後のお別れをする儀式です。故人との思いでを振り返りながら感謝を込めてお別れします。
昔は葬儀に続いて会葬者全員で骨を墓地まで送り、埋葬の前に行う儀式でした。しかし、現在では葬儀の後、焼香を中心に行うのが慣例化しています。
葬儀と告別式は別の意味を持つ儀式のため、本来は別々に行うのが正式です。 しかし現在は、規模の大きな葬儀以外では、両方同時に行うことが一般的です。
これは、火葬場への同行が少なくなったことや、都市部での葬儀の簡素化が進んだことなどが理由として考えられます。 家族葬や一日葬など、より簡素化された形式が増えています。
葬儀・告別式の流れは、宗教や宗派によって異なりますが、ここでは一般的な流れと、仏教宗派ごとの流れについて解説します。
勝見陽一.”第1章 葬儀を執り行う”.最新版 葬儀・法要・相続の早わかり百科.東京,主婦と生活社,2007,p.64
密教系の葬儀では、まず最初に仏弟子になるために髪やひげをそり落とす剃度式(ていどしき)を行って授戒します。 授戒が終わり、僧侶による読経が行われた後、引導式となります。
天台宗では、引導は本覚護という経文の一句一句を印で表して死者に授け、それによって仏の境地を死者に体現させます。
また、真言宗では引導のときに灌頂(かんじょう)をするのが特徴です。 灌頂は死者の頭に水を灌ぎかけることによって死者を仏の位に入れるというもので、即身成仏の基本となるものです。
焼香は3回行います。これは「身(体)、口(言葉)、意(心)」の三業に捧げるという意味があります。
浄土宗の儀式は、「仏を迎える(序分)」「念仏を唱えて仏を供養する(正宗分)」「仏を送る(流通分)」という3段階で構成されています。 葬儀では、さらに授戒式と引導式を加えて行われます。
授戒式では、仏前で剃髪を行って死者を仏弟子にし、戒名を授けます。 参列者の焼香は、仏、法、僧の三宝にささげる意味で3回行います。
禅宗の葬儀は主に以下の5つの読経から成っています。
棺前で死者に引導の句を授けるとき、僧侶は死後の世界の闇路を照らす松明の代わりとなる道具を持つのが通例です。
浄土真宗では、この世での生が終わると仏の力によって直ちに阿弥陀の浄土に入る「往生即成仏(おうじょうそくじょうぶつ)」という教えを説いているため、葬儀式は主に往生の本懐を遂げた死者の徳を偲ぶものとされます。
葬儀当日の儀式としては、ご本尊に最後のお別れをする出棺勤行(しゅっかんごんぎょう)と、葬場で行う葬場勤行(そうじょうごんぎょう)の2つを一度にまとめて行うのが一般的です。
葬儀では題目を唱え、法華経を読誦してその功徳を死者に手向けます。しかし他の宗派のような授戒の儀式はなく、題目を唱えることがそのまま戒徳を回向すると言われています。
総礼とも言われる題目三唱では、僧侶も参列者も全員で合掌して「南無妙法蓮華経」を3度唱題します。
勝見陽一. “第1章 葬儀を執り行う”. 最新版 葬儀・法要・相続の早わかり百科.東京,主婦と生活社,2007,p.64
喪主とは、葬儀・告別式における責任者であり、遺族を代表する役割を担います。 具体的には、以下の役割があります。
喪主は葬儀・告別式を滞りなく進めるために、様々なことに気を配る必要があります。
慣れない緊張の連続で、遺族が式の最中に気分が悪くなることがあります。
もし気分が悪くなった場合は、無理をせずに近くの遺族に声をかけ、控え室で休むようにしましょう。 また、事前から体調が優れないときは、予め医師に相談し、必要な薬を準備しておくことも大切です。
葬儀の準備は葬儀社選びから始まります。選び方のポイントは以下の点が挙げられます。
葬儀社が決まったら、葬儀の内容や費用について具体的に打ち合わせを行います。葬儀の内容は、故人の遺志や宗教・宗派の慣習、予算などを考慮して決めましょう。
葬儀の種類や規模、地域によって大きく異なります。一般的に葬儀費用には、葬儀社への費用、僧侶へのお布施、飲食費、返礼品などが含まれます。
葬儀の基本的なサービス(棺、祭壇、霊柩車など)や、オプションサービス(生花祭壇、料理、返礼品など)などがあります。
読経や戒名料など、葬儀の内容によって異なります。相場を参考に、事前に確認しておきましょう。
通夜振る舞いや精進落としなど、葬儀に参列してくれた人をもてなすための費用です。
香典返しで、葬儀に参列してくれた人へのお礼の品です。
葬儀には、参列する際の服装や香典、言葉遣いなど、様々なマナーがあります。
葬儀の服装は喪服が基本です。黒無地で、光沢のない素材のものが一般的です。
男性は黒のスーツに白いワイシャツ、黒いネクタイを着用します。女性は黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどを着用します。
香典は故人の霊前に供える金銭です。 金額は故人との関係性や地域によって異なります。
一般的には、友人や知人は5,000円から10,000円、親族は10,000円から30,000円、会社関係は5,000円から10,000円が相場とされています。
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故人や遺族に対する配慮を欠いた言葉遣いは避けましょう。
「重ね重ね」「度々」「再び」などの言葉を繰り返すことは「不幸が重なる」ことを連想させるため、避けます。 「冥福を祈ります」「ご愁傷様です」「お悔やみ申し上げます」などは、遺族を慰める適切な言葉です。
この記事では、葬儀と告別式の違い、それぞれの流れ、喪主の役割と心構え、葬儀の準備、葬儀のマナーについて解説しました。
葬儀は故人との最後のお別れをする大切な儀式です。悲しみの中での準備は大変ですが、悔いのないお別れができるよう、心を込めて葬儀を執り行いましょう。 葬儀社選びや葬儀の内容などわからないことがあれば、遠慮なく葬儀社に相談することも大切です。
この記事が、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。