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第1回 一年が過ぎて

東日本大震災から一ヶ月ほどが過ぎた昨年の四月、視聴者からの質問にローマ法王が直接答えるというイタリアのテレビ番組で、日本に住む少女が「なぜ子どもたちがこんなに悲しまなければならないのですか」という質問を投げかけたそうです。それに対する法王ベネディクト十六世の答えは、次のようなものでした。「私も同じように『なぜ』と自問しています。いつの日かその理由が分かり、神があなたを愛し、そばにいることを知るでしょう。私たちは苦しんでいる全ての日本の子どもたちと共にあり、祈ります」(共同通信社ニュース・二〇一一年四月二十二日付)
私自身はキリスト教徒ではありませんが、この言葉がまずは人間の弱さをしっかりと認識していることに共感を覚えます。ともすれば現代では科学技術があらゆる現象を解き明かし、さまざまな問題が人智によって解決できるはずだと錯覚されがちですが、あの震災のような想像を絶する事態に直面すれば「なぜこんなことに……」と誰しも途方に暮れて嘆くしかありません。それは絶大な社会的影響力を持つローマ法王とて同じであり、「なぜ」という戸惑いを率直に吐露している点にむしろ宗教者としての真摯さを感じ取ることができます。ただし法王の言葉は単に人間の弱さだけではなく、死という局面から立ち上がる力強さをも示していると言えるでしょう。
亡くなった人々の人生がどのような意味を持っていたかを「いつの日か」分かるまで、死の記憶を忘れずに受け継ぐという未来へのまなざし。生きのびたことの苦しみに耐える人々にそっと寄り添い、「共にある」ことで人生を分かち合おうとする共生へのまなざし。考え てみれば、そのどちらも私たち葬祭業がサービスの提供を通じて社会に広めるべきメッセージであるはずです。
震災から一年。犠牲者と遺族の方々に思いを馳せつつ、あらためて読者の皆様に葬祭業の意義を自問してもらいたいと願っています。