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第17回 顰(ひそみ)にならう

紀元前の中国、「呉越同舟」の故事で知られる越の国に、中国四大美女の一人として後世にその名が伝わる西施(せいし)という貴婦人がいました。彼女は心臓に持病を抱えており、発作が起きるたびに胸を手で押さえながら眉間に皺を寄せて苦悶をやり過ごしていたのですが、その姿にさえ周囲の男性達は艶かしさを感じていたというほどですから、まさに絶世の美女だったのでしょう。
一方、同じ時代に東施(とうし)という名の女性もいたそうですが、こちらは残念ながら西施とは逆に容姿の醜さで勇名であったとのこと。それでも「美しくなりたい」というのは時代を超えた女性の欲望なのか、西施のまねをして胸を押さえ、眉をひそめて歩き回っていたところ、あまりの不気味さに人々は悪鬼にでも会ったかのように逃げ出したとか。
ここから転じて、物事の本質を見極めずに他人のまねをすることを「顰にならう」と呼ぶようになりましたが、さて現代の葬祭業者は東施のことを笑えるでしょうか。
同業他社が新手のサービスを展開し、それが好評を博しているとなれば、すぐ自社にも採りいれなければと思ってしまう切実感もわかります。しかし、それが本当に自社のスタイルに合っているか、そして葬祭業の役割や儀礼文化の意義を損ねないかといった本質的問題を、一歩立ち止まって考えることも必要です。さもないと、「家族葬専門」といった宣伝文句を一度打ち出してしまったために後戻りができず、結果として利益率の悪化だけが残るという事態にもなりかねません。
人々のニーズや他社の動向を察知することも大事ですが、顰にならってばかりの姿勢では消費者の評価を得られないというものも現在の私たちを取り巻く状況です。「うちは変わりません」というメッセージも含め、むやみに周囲に流されずに本質を追求する態度を強く発信することこそ、今の葬祭業に求められている戦略と言えるのではないでしょうか。