第2回 携帯電話の悲劇 |【公式】ご葬儀のことは全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)へ

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2025.03.04
コラム

第2回 携帯電話の悲劇

column

 その悲劇は三ヶ月ほど前、ニューヨークにある著名なオーケストラの演奏会で起きてしまいました。渾身の力を込めた名演奏が最高潮に達した時、その緊迫感を切り裂いたのは携帯電話の騒々しいアラーム音。しかも一向に鳴り止まず、とうとう指揮者は演奏を中断せざるを得なくなったのだとか。後日談によれば携帯電話の持ち主は新しい機種を買ったばかりで、まさか自分のアラーム音が鳴っているとは思わなかったとのこと。悪意がないとは言え、この時ばかりは会場に居合わせた誰もが「この世から携帯電話など消え失せてしまえばいいのに」と思ったことでしょう。
 しかし現代社会において、携帯電話は消え失せるどころかむしろ生活必需品の地位を確立しつつあり、私たち葬祭業にとっても携帯電話を持たずに仕事を進めることはもはや想像すらできなくなっているのが実情です。また、総務省によれば携帯電話の契約者数はすでに総人口を上回っており、計算上は一人あたり一台以上が普及していることになりますから、こうなると自分だけ携帯電話を持たないというわけにもいきません。
 その一方で、恐らく読者のなかには演奏会で起きた悲劇を葬儀の最中に体験した方も多いと思われます。儀礼の厳粛な空気が携帯電話の電子音によって一瞬の内に壊されてしまうことは、ひとつの葬儀を遺族とともに丹念につくりあげることを旨とする私たちにとって文字通りの悲劇であり、厳しく言えばそもそも死者への冒涜です。それにもかかわらず式中に着信音が鳴り響き、周囲が眉をひそめるという光景が後を絶たないのは、公共性よりも私的な用事を優先しがちな現代社会の慌しさをやはり反映したものなのでしょうか。
 もっとも、悲劇を引き起こすのは会葬者だけとは限りません。携帯電話のマナーについて葬儀開始前にアナウンスした、当のディレクターの携帯電話が式中に……そんな最悪の悲劇が起きないよう、くれぐれもご注意を。

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