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第25回 二年が過ぎて

昨年三月号の本欄は、「一年が過ぎて」という題名でした。さらに月日が流れ、東日本大震災から二年。今回は少し趣を異にして、私の言葉を控えるかわりに、この二年間で印象に残った葬祭業者の方々の言葉をここで紹介してみたいと思います。
●東北地区の某単組・Aさん「本当に……心強かったよ。来てくれるだけで、涙が出た。ありがたかった。もちろん、来ない人をうんぬん言うわけじゃないんだ。物理的に移動できないということもあるし、何しろあの時の東北は『世界で一番危険な場所』だったから。でも逆に言うと、あの日の直後に来てくれた人は、それこそ命を賭けて来てくれた。つくづく、仲間だと……そう、誇りに思ったね」
●関東地区の某単組・Bさん「実を言うと、『気がついたら行ってた』って、そういう面もありました。あるいは、上から頼まれて、ということもないわけではない。ただ、『ここで行かなくてどうする?』って、本当に、そんな思いでしたよ。で、やっぱり自分の仕事もあるから、戻らなきゃいけない日がくるわけです。そして現地を離れるとき、役場に寄ったら……職員さんがね、全員総出で『ありがとうございました!』って。一列に並んで、建物の前に出てきて、最敬礼をしてくれるんです。泣きそうでした。いや、本当のことをいうと、泣いちゃったんですが……」
●九州地区の某単組・Cさん「行けなかったんです、私。いや、正直なところ『行かなかった』と、そう言ってもいいかもしれません。もちろん心配でしたよ。現地の人々はどうなってるのか。今、何が必要で、何ができるんだろうか、と。ただ、行かなかったことの……後ろめたさもあったのは事実です。そしたら後で、東北のAさんに会ったときに、『ありがとう。その思いだけで充分なんだ』って言われて。充分なはずは、ないですよね。でも、うれしかった。仕事に対する思い?ええ、そこから変わりました。かなり……ね」