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第28回 とむらいの色

葬儀に用いられる色といえば、現在でも黒を基調としたものという見方が一般的でしょう。形式ばらない個性的なふるまいが尊重される時代とは言いながら、喪服をはじめとする黒を基本としたシンプルな色調は、現在でも「とむらいの色」としての地位を保ち続けています。しかし一方で、それは深遠で厳かな色でもありますが、どことなく寒々しい印象があるのもたしかです。
つい先日、「この建物には、できるだけ暖色を使うようにしているんですよ」という言葉を、ある葬儀会館で伺いました。なるほど外観も内装も特に奇異な感じは受けませんが、色というよりは「色彩」といったほうが適切であるような、穏やかで豊かな色調で統一されています。もっとも、このようなケースは今やさほど珍しくもないのかもしれません。生花祭壇の隆盛は言うに及ばず、現在では従業員の制服に明るい雰囲気の色を採用する場合も多いとのこと。また、前回とりあげた霊柩車にしても、少し前から車体色に白を用いるデザインが増えてきました。そうなると、昔は頻繁に出番のあった黒と白の鯨幕も、今や倉庫に眠ったままという方も多いのではないでしょうか。
もちろん黒という色、あるいは黒と白を組み合わせたモノクローム色は、歴史的にみれば葬儀に際しての絶対的基準というわけでもありませんでした。いわゆる黒喪服が全国的な傾向になったのは明治・大正期のことと言われていますし、さらには紅白の水引を香典袋に使う場合も過去にはあったようで、今も一部の地域で用いられていると聞きます
いずれにせよ、葬儀をめぐる近年のうつりかわりはまさに目まぐるしいという表現が当てはまるものですが、「とむらい」と結びつく色彩感覚の意識変化も、どうやらそのひとつと言えそうです。そのうちに鮮烈なピンクの経帷子なども出てくる、かどうかはちょっと分かりませんが……。