第34回 葬儀と伝統 |【公式】ご葬儀のことは全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)へ

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2025.03.16
コラム

第34回 葬儀と伝統

column

  わが国における葬儀の歴史のなかで、後々まで記録されるであろう出来事が先月ありました。今上天皇(つまり現在の天皇)と皇后の葬法を、江戸期から続けられてきた土葬ではなく火葬とすること、そして陵墓の規模を縮小することが正式に発表されたのです。
  天皇という存在については読者の方々もそれぞれの考えをお持ちでしょう。ただ、政治的思想の問題とは別に、ひとりの人間としてそのご意向はできるだけ尊重されるべきであると私自身は考えています。すこし話は脱線しますが、年配の読者諸氏のなかには「銀ブラ事件」の名を記憶している方も多いのでは。今上天皇がまだ高校生の頃、友人達と銀座を散歩し、喫茶店に入っただけで警察官が大挙して動員されてしまう事件になったぐらいですから、その生活の息苦しさは察するに余りあります。
  そのように自由気ままな外出もできず、メディアにはご家族ともども虚実ないまぜに報じられ、それでいて日々休みなく公務を続けながら穏やかな人間性を保つだけでも尊敬に値しますが、報道によれば天皇ご自身は皇后と同じ陵墓に合葬されることを望まれたものの、それは諸事情で見送られたのだとか。おそらくは、そのような決定に至る過程のなかでも悩まれたのではないでしょうか。
  とは言え、今回の件では「簡素化」や「旧習の変革」といった話題ばかりに光が当てられている感がありますが、それだけで語られるのも若干の違和感があります。むしろその逆に、表面的な個人主義に堕することなく、私的な思いと伝統文化との融和を探りながら、葬儀という機会を極めて大事なものとして受けとめられているような気もするのです。それはまた自らの人生を過去の先祖と、そして同時代の人々とのつながりのなかに置くという深い思慮のあらわれでもあり、実はそれこそが古今変わることのない最も大切な「守るべき伝統」なのかもしれません。

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