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第35回 一年の計、十年の計

この時候になると、「一年の計は元旦にあり」という言葉をよく耳にします。読者諸氏のなかにも「さあ、この一年間に何をしようか」と決意を新たにされている方も多いことでしょう。しかし年に一度しか巡ってこない折角の機会ですから、一年だけと言わず十年の計を案じてみるのも良いかもしれません。
実は、一年の計だけではなく、十年の計という言葉もたしかに存在します。双方ともに、今から二千年以上も前に編まれた『菅子』という中国の古典に出てくる言葉で、そこには「一年の計は穀を樹うるに如くは莫く、十年の計は木を樹うるに如くは莫く、終身の計は人を樹うるに如くは莫し」という句が載せられているのですが、現代風に言えば「一年の計画は穀物を植えるに及ぶものはなく、十年の計画は木を植えるに及ぶものはなく、そして一生をかけた計画は人を育てるに及ぶものはない」といった内容になるでしょうか。
なるほど、言い得て妙という感があります。一年の計というと、どうしても「今年は何が収穫できるだろうか」という短期的な利益に思いが向きがちなもの。一方、十年の計ともなれば「この木を植えたら、ゆくゆくは何が実るだろうか」という大局的な観点が自然と求められます。そして、うつりかわりの早い今日の葬儀の風潮を前にして私たちに求められているものもまた、どちらかと言えばこの十年の計や、もしくは「どのような人間を育てていくか」という一生の計であるような気もするのです。短期的な計画も大事ですが、次の十年にどう臨むかという観点を胸に日々の仕事を省みる眼差しは、おそらく現代の葬祭業にとって必要なことと言えるでしょう。
あらためまして、新年の到来をお慶び申し上げます。二〇一一年から始まったこのコラムも、早いもので皆さまと一緒に三年目の春を迎えることができました。本年だけでなく、これからの十年間が全ての皆さまにとって実りある時間になりますように。