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第40回 「農」のゆくえ

五月二十二日、政府の規制改革会議が農業改革に関する提言を取りまとめて公表しました。地域ごとの農協を統括している全国農業協同組合中央会(JA全中)の廃止など、その内容は「農業」改革というよりも、むしろ「農協」改革といったほうが的確かもしれません。いずれにしても農協の葬祭事業という問題を考えれば、当然ながら私たちにとっても他人事ではないと言えるでしょう。
この提言に先立って安倍首相が「(農協の組織制度に関する)改革をセットとして断行していく」と明言したこともあり、農協側には自らの解体につながるのではないかという危機感がひろがっています。JA全中から末端の農協にいたるトップダウンの制度にメスを入れるだけでなく、農産品の販売などを手がけるJA全農(全国農業協同組合連合会)を株式会社化するという大胆な内容も盛り込まれていますから、農協関係者がその大きな変化を警戒するのも無理からぬことです。
その一方で、私たちにとっても今回の政府提言は単に「農協の葬祭事業」だけでなく、「農」そのものに対する立場を省みる機会となるはず。国家の土台である農業が廃れ、豊かで彩りのある食生活を担う人びとが急激に減っていくという事実は、もちろん歓迎すべきものではありません。
とくに福島第一原発事故のあと、「農」の問題はさらに切実さを増してきました。競争原理だけで全てが覆われてよいのだろうか。豊かで安全な生活の礎となってきた地域社会のつながりは、今後どのように保たれていくべきなのか。今回の提言の背後に透けて見える問題は、実は私たちが置かれている難しい状況の構図とも地続きになっています。そしてわが国の葬儀文化が、農業のいとなみと切り離せない歴史のなかで培われてきたことも事実。これを機に、「農」のゆくえと重ね合わせながら、「葬儀」のゆくえをじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。