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第45回 天災は忘れた頃に

天災は忘れた頃にやってくる――漱石の弟子にして高名な物理学者でもあった寺田寅彦の言葉と伝えられているのは、おそらく多くの読者がすでに御存知でしょう。
先日も御嶽山の噴火による惨事があったばかりですが、死傷者が多いか少ないかにかかわらず、「もしものときに」を合言葉にしている私たち葬祭業者も災害の危険に対しては常に万全の備えを整えてしかるべき。特に経営者の方には「法令上の規制を充たしていれば良いのでは」という意識ではなく、定期的かつ総合的な危機管理対策の確認をお願いしたいところです。
さて、私たちの業界にとっては自らの身を守るだけではなく、お客様の安全を守ることも健全なサービス業としての義務であることを忘れてはなりません。ところが以前、私から「葬儀中に地震が起きたら……って考えたことがあるかい?」と業界内の友人に聞いてみたら、「あまりないね。それに、ちょっとやそっとの揺れだったら、そのまま最後まで葬儀を続けることのほうが大事だろう」という答えが返ってきたことがありました。
個人的には、そんな思いも分からなくはないのです。しかし、「ちょっとやそっとの揺れ」の判断をその場まかせにすることの危険もさながら、ときには厳粛な儀式の遂行よりも、生きているお客様のいのちを優先しなければならない場合もあるはず。特に災害の規模が大きいほど、わずかな判断の遅れが致命的な結果につながってしまうことを考えれば、苦渋の決断とはなるものの勇気を振りしぼって「葬儀を中断します。皆さん、指示にしたがって落ち着いて避難してください」と告げなければならない場合もあり得るでしょう。
あの大震災から三年半。やはり防災・減災の意識が希薄化している印象を受けます。私たちの責務は当然「生きている人びと」にも向けられていることを、ここでもう一度しっかりと認識したいものです。