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第55回 幕張試験について考える

今年も葬祭ディレクター技能審査の季節がやってきました。小欄でも以前に「『葬祭ディレクターになる』とは」と題してあれこれと論じましたが(平成二十三年十一・十二月)、今回は受験科目のひとつである幕張試験について考えてみたいと思います。
率直に言うと、技能審査が開始されてから現在に至るまで、幕張を受験科目に含めていることに疑問を覚える方も少なからずいることでしょう。何しろ最初の試験が行われた二十年前ですら、現場で白布を裁断して幕を張るというような設営は「よくあるケース」とは言えないものでした。特にテーブル幕については、既製品をすっぽり被せて一丁あがりという感覚がもう普通になっています。
その一方で、幕張の技能には未だそれなりの意義があるようにも思うのです。葬祭業に求められる「手際と段取りの良さ」を端的にあらわしているということもあります。また、勝手知ったる自社式場ではない集会所や寺院での葬儀、あるいは数少なりましたが自宅葬の現場では、まだまだ必要な技能であるはず。いかなる場所でも臨機応変に設営ができるというのは重要な技能ですし、現場に行ってから「できません」では困ります。
ただし私が個人的に考える幕張試験の最大の意義は、実をいうと受験者の技能水準そのものをチェックするという点にはありません。むしろ、しっかりと幕張の技能を教えてもらえるだけの人間関係と経験を築いているか否かという点を、間接的ながらも知ることができるという点に意義を感じるのです。一級・二級の別を問わず、七分間で焼香机の幕張を仕上げるというのは、独学ではいささか至難の業。だからこそ幕張試験を通過するためには、上司や先輩など周囲の人間とコミュニケーションをとりながら熟練を重ねていくという過程が必要になるわけであり、幕張試験ではその経験まで問われているのだ、と考えることもできるのではないでしょうか。