第56回 たまには月でも |【公式】ご葬儀のことは全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)へ

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2019.01.16
(更新:2025.03.31)
コラム

第56回 たまには月でも

column

  月月に/月見る月は多けれど/月見る月は /この月の月――古くから伝わる和歌ですが、現代風に言えば「美しい月は毎月巡ってくるけれど、この素晴らしい月はこの時だけ」といった意味になるでしょうか。
  先月の九月二十七日は中秋の名月でした。つまりは旧暦八月の十五夜。昔から一年で最も月が映えると言われてきた時期です。地球から見る月が最大になる「スーパームーン」が翌日だったこともあり、例年よりも大きく報道されていた気がします。皆さんのなかにも月見を楽しんだ方が多かったことでしょう。
  しかし、多忙で月見どころではなかったという声も聞こえてきそうです。葬祭業は何かと時間に追われることが多いものですが、もうひとつの特徴はどうしても夜に仕事が食い込むこと。通夜の後かたづけは言うに及ばず、ご遺体の搬送からお客さまの連絡に至るまで、コンビニが登場する以前から二十四時間・三百六十五日の業界ですから、その良し悪しは別として「夜討ち朝駆け」が当たり前のようになっているのも事実です。
  人の死という重大事に携わるわけですから、それもある程度は無理からぬことかもしれません。とは言え、夜になると「疲れたなあ」とため息をつく場面も多いはず。かつては私もそうでした。でも、ひっそりと静まり返った病院から出ると、あるいは通夜の後に式場から出ると、いつも夜空を淡く照らす月を見ただけで何やら安らぎを覚えたものです。
  もしかすると、それは太古の昔からずっと変わらないものを自然に思い浮かべるからなのかもしれません。夜には月がのぼり、人間はいつか死ぬ。それはこれまでも、そしてこれからも永遠に続きます。一方で、ひとつとして同じ月がないように、ひとつとして同じ死にざまもありません。たまには月でも見上げながら、私たちはそんな一期一会の仕事を手がけているのだということを静かに感じてみてはいかがでしょうか。

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