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第57回 葬祭業とコンプライアンス

つい先日、現職の閣僚が自らの地盤で行われた葬儀に香典や枕花代を出し、公費として堂々と政治資金収支報告書に記載していたとの報道がありました。政治家とて葬儀には参列するだろうし、何か問題があるのか――よもやそんなことを考えた読者はいないと信じたいところですが、意外と業界内ではこのようなコンプライアンス(法令遵守)の問題に頓着しない方が未だ少なくないようです。
あらためて言えば、このケースは完全に公職選挙法違反。政治家が自分の選挙区内の人びとに寄附を行うことは、原則として禁じられているからです。本人が参列し、かつ私費で香典を出すならば問題はないとされていますが、それでも常識的な金額を超えたらアウトです。秘書が代理で参列して香典を渡すのはもってのほかですし、供花・花輪の類を出すことも明白な違反となります。
考えてみれば、このような公職選挙法の規定に限らず、私たち葬祭業はいつでもコンプライアンスの最前線に立たされている存在です。いわゆる墓埋法から民法・刑法・消費者保護法に至るまで、私たちの日常業務に関連する法令は枚挙に暇がありません。また、法改正が行われた際には正確に理解することが否応なく求められますし、その他に地域ごとの条例にも配慮する必要があります。
その一方で、「昔はもっと大らかだった」という印象を持つ方もいるのでは。冒頭のケースにしても、議員秘書があちらこちらの葬儀に代理で参列し、香典を置いて足早に去っていくといった光景は、特に業界内のベテラン勢の皆さんにはありふれたものだったでしょう。ただし、すでにそんな時代ではありません。コンプライアンスに無関心な業者が一社あるだけで、業界全体が社会から批判のまなざしを向けられます。公明正大な経営こそ最も効率的で合理的であるという大局的な意識を持つことが、過去にも増して求められているのではないでしょうか。