第60回 柊鰯のゆくえ |【公式】ご葬儀のことは全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)へ

map お知らせ

ニュースやイベント等のお知らせを
ご紹介させていただきます。

2019.05.16
(更新:2025.03.31)
コラム

第60回 柊鰯のゆくえ

column

  はるか昔から現代まで続いている行事や慣習は数多くありますが、さしずめ今の季節ならば節分の豆まきを思い浮かべるのではないでしょうか。「鬼は外、福は内」の掛け声に合わせて豆をまく。豆をまいた後は、無病息災を願って年齢の数だけ豆を食べる。それらの知識は誰もが今でも持っています。節分に豆まきを行う学校も多いと聞きますから、家庭以外の場所でも自然と「節分には豆まき」という感覚が培われるのかもしれません。
  それでは柊鰯(ひいらぎいわし)はどうでしょうか。これも豆まきと並んで節分に行う慣習のひとつで、文字通り「鰯の頭」と「柊の枝」を玄関などに飾るものです。あくまで個人的な感覚ではあるものの、とりわけ大都市ではこの柊鰯を知る者は年々少なくなっているように思います。以前、東京で生まれ育った数十人の学生を相手に話をする機会があったのですが、柊鰯を全く知らず、見たこともないという者は全体の九割にも上りました。
  しかし一方で、同じような年齢の学生たちを相手に東北のある町で柊鰯の話をしたところ、ほとんどの者が知っていると答えたばかりか、なんと半数以上のが「節分になると家で柊鰯を飾っている」と言うではありませんか。これには私もびっくりしました。あまりに地域差が激しいからです。
  柊鰯も豆まきも、少なくとも平安時代あたりまでは遡ることができる古い歴史を持つのだとか。ただ、率直に言ってどちらも昔と全く同じというわけにはいかないでしょう。いろいろな変化を経て、あるものは受け継がれて、あるものは廃れて消えていく。それは自然と言えば自然な流れではありますが、昔の人びとがさまざまな思いを込めたものを消えていくままに任せることも、いささか切ない気がします。新しくて良いことは積極的に、ただし古くて良いものも同じく積極的に。葬送儀礼の歴史を受け継ぐ私たちこそ、そんな気概を持って毎日の仕事に臨みたいものです。

お知らせTOPへ