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第69回 リスク化する葬儀

終活という言葉を見るといつも、今や葬儀とはリスクの一つになってしまったのだとつくづく感じます。たしかに、死という出来事はいつ起きるか予測がつかず、できることならば避けたいという意味では古今東西変わらぬものではあるでしょう。だからこそ、葬祭業界では「もしものために」といった言葉が広告宣伝のなかで多く用いられてきましたし、時と場所を問わず対応できるという点を私たちも前面に打ち出してきました。もちろん、その中心にあるのは、あくまで良質なサービスを提供するという趣旨に違いありません。
その一方でエンディングノートや生前契約、そして任意後見制度などの終活に含まれるさまざまな手立ては、それらもまた専門家が提供するサービスには違いありませんが、人生設計上のリスク管理という意味合いが強いような気もします。あるいは、まさに保険がそうですが、未来を先取りしておくことによって安心感を得るための準備行動とでも言えるでしょうか。
しかし、かつての葬儀とは生きている内から着々と能動的に「準備しておく」ものではなく、受動的にその時を「迎える」ものであったのも事実です。当然、それが出来たのは家族に、近親縁者に、そして地域の人びとに看取られて旅立っていくことが普通で、要するに自ら手立てを講じる必要がなかったからですが、もはや現代の超高齢社会ではそれが普通の状態などとは到底言えません。
何しろ高齢者の人口が単に増えているというだけでなく、日本の全世帯に占める「高齢者の一人暮らし世帯」の割合が一割以上にもなっている今日です。自らの死を担ってくれる人が自分以外に存在しないという人も増えているなかで、葬儀をリスクとしてとらえる傾向が強まっていることも理解はできます。ただ、本当にそれで良いのかということは、他の誰よりも私たち葬祭業に携わる者が考えていかねばならない課題に違いないでしょう。