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第9回 「葬祭ディレクターになる」とは(その一)

秋の風物詩を彩る言葉は「芸術の秋」から「食欲の秋」まで色々ですが、葬祭業界にとってはさしずめ「試験の秋」というところでしょうか。去る九月に行われた葬祭ディレクター技能審査も今年で十六回を数え、一級と二級を合わせた受験者数は約二千七百名に上(のぼ)りました。また、各地の試験会場で多くの方々が審査官などの運営要員として協力していることも考えれば、この試験はまさに業界を挙げた一大行事といえるものです。
このように技能審査制度は業界内で堅実な定着を見せており、それに伴って葬祭ディレクターの名称と趣旨も年を重ねるごとに社会に浸透してきました。その一方で「ディレクター資格がなくても仕事はできるから問題ない」、あるいは「たった一日の試験で葬祭業の技能など充分に判断できるはずがない」という声も未だ耳にします。たしかに現時点でのディレクター資格は米国のように全事業者に資格保有を義務付ける免許制度とは異なるため、「なくても仕事はできる」という意見も間違いではありません。しかし、そのような考えは逆に葬祭業の専門性を矮小化(わいしょうか)するのみならず、「私は専門家ではない」という消極的な自己否定にも見えます。
ここで誤解を恐れず述べるならば、「葬儀の仕事など誰でもできる」と言われた時代も過去にありました。勿論それは事実として誤っているものの、自分が思う「仕事の価値」が顧客に理解されなかったり、そのような消費者とのすれ違いがトラブルに結び付いたりという経験を持つ方も少なからずいることでしょう。だからこそ今日の私たちには業者間でサービスの差別化を競う以上に、何よりもまずライフエンディングをめぐる情報と技能を蓄積してきた唯一の専門家集団であるという特質を業界の外に打ち出して「消費者との差異化」を果たすことが求められており、葬祭ディレクターの資格を得る意義の一つも、まさにその点にあるのです。【次号に続く】